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日誌

卒業式2018

 

4月が始まり約2週間が経ちました。

 

 

学びの森の生徒たちも、新年度の時間割をひと通り経験し、「この曜日はゼミがある、やった」「この日はけっこう楽しい日やな」「この日は数学あるんか、嫌やなぁ」といった時間割の感覚もだいたい分かってきた頃だと思います。

 

 

この4月から新しく学びの森に入学した生徒たちも、少しずつここでの学習に慣れていってくれるといいなと思います。

 

 

 

 

さて、この2019年度がスタートする前には、2018年度の総仕上げ、卒業式が行われました。

 

 

 

 

 

 

 

 

今年の卒業生は全9名。うち1名が当日残念ながら欠席だったため、8名の卒業生とその保護者の皆様、在校生、スタッフの総勢40名超の卒業式となりました。

 

 

 

 

卒業証書授与、塾長からの式辞、在校生からの送辞と卒業生答辞、といった流れを並べてみるとオーソドックスな「学校」の卒業式といった印象を受けますが、式辞も送辞も答辞も、その言葉から一般的に想像される内容とはかなり違います。

 

 

塾長の式辞はその場で生徒たちの顔を見て浮かんだ言葉を、在校生からは卒業生一人ひとりに宛てた言葉を、卒業生からは学びの森に来てから卒業するまでの自身の変化や今の思いを表現した言葉を、それぞれ送ります。形式ばった挨拶はあまりありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それぞれの「生」の思いが伝わってくる気がして、私はこの素直な挨拶が好きです。

 

 

送る相手のことを思い浮かべて、自分がどんなことを伝えたいのかをはっきりさせていく。それを的確に伝えてくれそうな言葉を選び、書いては消し書いては消しを繰り返し、「伝えたいこと」によりフィットした言葉に修正していく…。

 

 

具体的な誰かを思い浮かべて、自分の気持ちを表現するための言葉を練るというプロセスを経て生まれた言葉には、真実味があります。

 

 

彼らがここで生み出す言葉には、そんな真実味を感じるのです。

 

 

 

 

もうひとつ、学校の卒業式ではあまり見られない「花束贈呈」が学びの森の卒業式にはあります。

 

 

この「花束贈呈」の花束は学びの森から生徒たちに贈られるのではなく、生徒たちから保護者の皆様へ贈られます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この卒業式は子どもたちだけにとっての卒業式なのではなく、お子様と一緒に苦しい時期を乗り越えてきた保護者の皆様にとっての卒業式でもあるのです」。

 

 

この言葉は、毎年花束贈呈の際に北村塾長が保護者の皆様にお伝えする言葉です。

 

 

学びの森はフリースクールというその特徴から、保護者の皆様とお会いしたり連絡をとったりする機会が多いです。その都度保護者の方からご自宅での様子を聞いたり、ご相談を受けたり、進路について一緒に考えたり…。生徒とともに過ごした時間は、すなわち保護者の方とともに過ごした時間でもあります。

 

 

保護者の皆様が心配されながらもお子様を見守り続けてこられた時間にいったん「卒業」という区切りを設けることで、お子様とともにこれまでの時間を振り返っていただきたいという思いでこの時間をとっています。

 

 

 

 

こうして学びの森の卒業証書授与式のすべてのプログラムを終え、皆で記念撮影をしてから、お楽しみの謝恩会へと移りました。

 

 

謝恩会の初っ端、在校生から卒業生へのプレゼントとしてメッセージカードとムービーが贈られました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この余興は、企画段階からずっと在校生たちが進めてきたものでした。

 

 

アンケートで卒業生に対する生徒スタッフからの印象を集めたり、卒業生自身にインタビューしたりして、一人ひとりの卒業生を紹介するムービーを作り上げた彼ら。在校生からのプレゼントに、卒業生や保護者の方々も嬉しそうな様子でした。

 

 

 

 

そのあとは美味しいごはんやサンドイッチを食べながら、生徒も保護者の方々も、皆話に花を咲かせました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宴も終盤、最後には卒業生から講師へのサプライズメッセージもあり、うっかり泣きそうになりました。泣いてないですが。

 

 

卒業生にしろ在校生にしろ、別れの際にこうして「思いを伝えたい」と思えるような関係性を皆がここで築いていたことが、この場に関わる者として嬉しかったです。

 

 

 

 

こうして振り返ってみると、彼らが学びの森で過ごしてきた時間や築いてきた関係性が、そして彼らがそれを大切に思ってきたのだということが、贈り合われる言葉や交わされる会話、表情などから目に見えて実感できるのがこの卒業式という機会だと思います。

 

 

毎回それを目撃するたびに、私自身も彼らと交わしたやりとりや過ごした時間を思い出し、懐かしく思ったり別れが寂しく感じられたり、いろいろな感情が胸をよぎります。

 

 

ですが、彼らにとって学びの森はあくまでも通過点。

 

 

ここに来て変わっていった生徒たちがたまに学びの森のことを懐かしく思い出してくれるのは嬉しいですが、学びの森の存在を忘れてしまうくらい、彼らにとって「今」が一番楽しいことが個人的には一番嬉しいこと。学びの森を巣立ったあとも彼らの日常は続きますし(というかその後の人生の方がうんと長い!)、彼らがいなくなっても学びの森は続いていきます。

 

 

学びの森に限らず、学生時代に過ごす場所とそこに通うひとの人生が交差している時間は長い人生の中で考えるとほんの一瞬ですが、その一瞬の中に存在した出来事や心動かされた経験は自分のどこかに埋め込まれていて、今の「自分」をつくる数ある要素のひとつになっている。

 

 

学びの森で過ごした時間がそんな意味で彼らの中に活きていってくれれば、それはとても嬉しいことだと思います。

 

 

 

 

卒業生の皆さん、ご卒業、おめでとうございました。

卒業生の保護者の皆さんも、ご卒業おめでとうございました。

 

 

いろんなことがあると思うけれども、新生活、思う存分楽しんでください。

 

 

 

 

桜も散り始めた頃の更新となってしまいましたが、以上、学びの森の卒業式2018のレポートをお届けしました。